日本製だからといってすべてクオリティーが高いわけではない【縫製編】

 

こんにちは。

 

みなさんは日本製の衣料品と聞いてどう感じますか?

安心?安全?間違いない?

そう思ってる方は割と多いのではないでしょうか。

 

前職は日本製カットソーメインのデザイナー

前職は小さなアパレル会社のプライベートブランド(以下PB)の

デザイン、パターン、生産管理等、

一人で何でも屋さんでした。

 

というか、

私と他社ブランドのOEMを管理する社員と2人だったので、

致し方ない状態。笑

 

もう10年ほど前の話です。

現在の縫製業界とは少し変わっているとは思いますが、

その時の経験を元に、日本製についてお話したいと思います。

 

 

カットソー8割、布帛2割のPB。

 

カットソーと布帛(ふはく)ってなに?

ちなみにカットソーと布帛(ふはく)ってなんぞや?という方のために簡単にご説明(かなり簡単です。笑)

 

カットソー

カット・アンド・ソーン(cut and sewn)の略

編地を裁断して縫製したもの。

糸から編み上げたものはニットとなる。

 

布帛

織物(糸を縦横に組み合わせて織り上げた布地)生地を使った製品。

 

カットソーも布帛もどちらも国内工場で生産。

当時、少しずつ海外生産から国内生産に戻ってきているメーカーもありましたが、

国内の縫製工場は跡取りも少なく、高齢化が進み、閉鎖する工場も少なくありませんでした。

 

 

衰退していく国内の縫製業を目の当たりにし、

PBで日本製を推して、国内の工場を活性化させたいと考えていました。

しかし、出産をキッカケにその想いは果たせなくなりました。

 

参考記事
 起業したワケ〜産後戻る場所のなかった私。

 

 

生産現場をずっと見てきてわかったことは、

日本製=クオリティーが高い

中国製=クオリティーが低い

という単純な話ではないということ。

 

顧客が30代〜40代の女性だったので、

ママ世代も多く、自分が着る服が赤ちゃんや子供に触れるので、

とにかく中国製がいやだという声も多く。

問い合わせ内容も生地やボタンも日本製なのか?など、

こだわりのある感じでした。

 

私といくつかの縫製工場の付き合い

契約のあった国内縫製工場は8つ。

PBはその中でもダントツで技術の高いN工場をメイン工場にしており、

あとはデザインの複雑さ、生地の扱いやすさなどで振り分けていました。

 

工賃も高いので、他社OEM製品はなかなか単価を合わせにくく、

それらは質よりスピード重視の工場にまわされました。

 

私が勤めていた会社の社長は、叩き上げの苦労人で、数字にも技術にもシビアでした。

そんな社長と旧知の仲であるN工場、もちろん頑固一徹職人。

何度技術やパターン、素材のことで衝突したことか…涙

 

工場の社長に理不尽なキレられ方して、

悔し泣きしながら反物担いで電車で工場に持って行った記憶も。苦笑

 

 

社長の奥さんが駅まで来てくれて、

「社長、謝りたくて助手席には乗ってるけど、意地張ってるねん。

ごめんな、許してあげてな。」

って。

 

懐かしいなー!!!

お互い仕事には常に真剣でした。

 

…話が逸れましたが。苦笑

 

日本の縫製工場でも内情は違う

 

まず、日本の工場だからと言って、技術が高いわけではありません。

 

N工場…社長を筆頭に全員ベテランの縫製職人。

それぞれが一人で全ての処理ができる状態。クオリティはピカイチ。

 

W工場…社長は裁断士。奥様、その他の職人が縫製職人。

スピードは速いが縫いはやや雑。量産向き。

 

C工場…社長はミシン調整士、縫製もできる。

スタッフは全て中国人留学生。主にサンプル縫製中心。

留学生が入れ替わり立ち替わりなので、クオリティが低い。

 

 

簡単に書いただけでも、かなりの違いがあります。

そして、中国人留学生を安く雇い、正直クオリティの良くない日本の工場があったのも事実。

でも国内生産だから、商品タグには【日本製】と表示されているわけです。

 

ミシンの縫製内容でも変わる

 

衣類の端処理や縫い合わせにはオーバーロックが用いられます。

この縫い目で、だいたいのクオリティがわかります。

 

 

こちらはキレイなミシン目のサンプル。

糸調子も整っています。

 

 

お次はこちら。

 

糸の本数も少なく、糸調子も不安定です。

端糸が出て、引っ張ったら簡単に解けてしまうような粗悪品です。

ミシン目のサンプルが少ないのでわかりづらいかもですが、

ミシン目でわかるのは、下の縫い目のようは衣料品メーカーは、

糸すらケチりたいほどコスト削減し、

品質は二の次だということです。

 

あと、大規模工場で縫製が安定しているモノがある理由の一つとして、

同じ箇所を同じ人間がずっと担当して縫っているということ。

 

どういうことかというと、同じ製品を縫う場合に、

1人で1枚仕上げるのではなく、

衿ぐり担当、

身頃脇担当、

裾上げ担当、

といった感じでわかれている場合、

カーブや布地の厚みなど一定して縫えるので、

糸調子も安定して縫えるということです。

 

これは職人さんに聞いたお話、

「へたくそでも同じ箇所ばっかり縫ってたら、そりゃあそこだけでも上手くなるわ!笑」

 

なるほど。

 

中国製でも品質の良い縫製はある

最近は中国工場だけでなく、

ベトナム工場やインドネシア工場も増えましたね。

 

日本人が総括し、技術を管理している工場は比較的クオリティは安定しているのではないでしょうか。

日本製、中国製、だけで判断するのではなく、

消費者もほんの少し、縫い目や布地への知識が少しあると、

選択肢もまた違ってくるのではないでしょうか。

そう考えるとユニクロの縫製はやはりクオリティは高いですね。

好みは分かれると思いますが。

 

縫い目からメーカーやブランドの背景を想像するのも面白いのでは?

 

 

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筆者プロフィール

rie-ueno
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上野理恵(うえのりえ)

アール代表兼デザイナー

美容師、アパレル販売員、アパレルデザイナーを経て現在アクセサリーデザイナー、講師として活動中。

数年前にヨーロッパの伝統的な刺繍の一つ、ソウタシエに出会い、技術として取り入れる。現在は独自のソウタシエアクセサリー講座を開催。

ソウタシエだけではなく、ワイヤーワーク、ミシン加工による作品展開など、専門分野は多岐に渡る。

カタチや枠にとらわれない自由な発想とデザインによる完全おまかせのオーダーアクセサリーが一番人気。リピーターも多い。

少しトーンの低い声で繰り出す大阪人特有のキャラクターが親しみやすいとの声も。

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