Soutache
ソウタシエとは
Passementerie & the art of the cord
ソウタシエ(Soutache)は、中央に溝を持つ細い装飾用ブレード(組紐)の一種であり、衣服に縫い付けて曲線や文様を描くために用いられる服飾素材である。その名称は19世紀にフランス語として定着したが、語源はハンガリー語のsujtás(シュイターシュ)に由来し、ハンガリー軽騎兵の制服を特徴づける組紐装飾として広く知られるようになった。
しかし、コードを衣服に縫い付ける装飾文化そのものは、ルネサンス期にはすでにヨーロッパ各地で見られ、宮廷服や祭服、軍服、民族衣装を彩る重要な意匠として発展してきた。ソウタシエは、そのような装飾文化を包括する伝統工芸Passementerie(パスマントリー)を構成する数あるブレードの一つであり、独立した技法ではなく、広大な服飾文化の系譜の中に位置づけられる。
現代では、天然石やビーズを組み合わせたアクセサリー技法として知られることが多いが、それは20世紀末以降に発展した比較的新しい表現である。本来のソウタシエは、一本のコードによって衣服に立体的な線を描き、装飾性と格式、そして文化的な象徴性を表現するための服飾素材であった。
ソウタシエとは、単なる「アクセサリー技法」ではなく、数世紀にわたりヨーロッパの宮廷文化、軍事文化、民族文化の中で受け継がれてきた、装飾ブレードの歴史と美意識を象徴する存在なのである。
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